とくしまアウトドア放浪記 秋の吉野川カヤックツーリング
2024.10.23
『Trip 四国の川の案内人』代表の牛尾健さんによる「とくしまアウトドア放浪記」
第3回の今回は秋の吉野川カヤックツーリングをご紹介📣

仕事前の川遊び!
まだ残暑が厳しい秋の吉野川。水温はまだ20℃以上あるので気温が上がる日は水を浴びるような川下りにはちょうどいい。今回はいつもツアーで行く吉野川を下ろうと企画を考えた。しかしみんなの予定が合わない。それなら早朝スタートで早めにゴールして仕事に行けるようにしよう!ということで時間を合わせた。まだ陽は長いので十分楽しめる。せっかくなので朝食を河原で楽しんでからスタートすることにした。
風が凪ぎ太陽の位置がどんどん変わっていく朝の河原。インスタントコーヒーを飲むだけでもカップラーメンを食べるだけでも美味しいその時間帯を、人のいない河原で過ごしてほしい。そこに面白いギアや楽しい食事を付け加えたい。アウトドアのガイドとしてフィールドと町が近い徳島ならではの楽しみ方をしてみようという提案だ。
朝が得意な僕は早起きして朝食を仕込んでおいた。

まずは焚き火とコーヒーを
早めに着いて焚き火台を出し、まずは焚き火。穏やかな朝の焚き火は気持ちいい。川の水を汲んで浄水器を通しケトルに入れお湯を沸かす。コーヒーを飲みながら準備をしているとメンバーが集まりはじめた。
まだ水温も高いのでカヤックの準備を済ませたら汗を流しに川に飛び込んだ。
そしてワンアクションちゃぶ台を川の中に置けば涼しいリビングの完成だ。川の中に座りコーヒーを飲んでいると何かの稚魚が足のまわりにたくさん寄ってくる。飲み終わったカップで金魚すくいのように簡単に獲れてしまうのが面白い。
下流まで透明度が高く水温の高い川、そして魚の多さなど、豊かな環境がすぐ近くにあるのが徳島のいいところだ。

料理の時間
今回はパンケーキ!
いつもパンケーキを作るときは事前にペットボトルなどに混ぜたものを準備しておき現場では焼くだけにしている。
いつも現場で簡単に、そして水辺では焚き火を使った料理が基本スタイルだ。
あとはそのまま食べられる簡単なサラダやバナナを用意。鉄板でベーコンを焼き、スクランブルエッグはアメリカンダイナーをイメージし甘めの味付けで作った。それらをパーティープレートに乗せたら料理は完成だ。



▲Snow Peak ワンアクションちゃぶ台竹 M ¥27,720(税込)/パーティープレート ¥21,120(税込) ※TAG STOREで販売中
カヤックをイスにして川に浸かりながら、各自好きなようにパンケーキを焼いて楽しむ。
気持ちのいい天気の中、話をしているとついゆっくりしてしまいスタートが遅れてしまうがそんな自由さも、アウトドアのいいところでもある。
気持ちいいからゆっくりする、危険だから回避する、その場で考えて天気やコンディションを見て自由に動くという自立した遊びがアウトドアなのだ。

旅するフネに荷物を積んで。
お腹を満たしたらカヤックスタート!
使うフネはいつもツアーで使用することが多いツーリングカヤックだ。
コンパクトな日本の地形の特に平野部では、晴れると陸と海の温度差で下流から上流へと海からの風か吹く。
この風があるので海からの風をキャッチして帆船で上流へと上がって来られた。そして川沿いに湊町として町が栄え海のものが山間部の集落に運ばれ、山のものが海の方へと運ばれた。日本各地、大きな川の沿線に鉄道があるのは川の物流が鉄道に変わったためだ。
川を下るとそのような歴史的背景まで感じられる。
そんな向かい風が吹くと正直なかなか進まない。なので進むことを考えると直進性のある長いカヤックが有利ということになる。ただ正直長いぶん陸では重たい。しかし水面に浮かべると自由が得られる乗り物でもある。もちろん軽い折りたたみ式などもあるので用途に合わせて使い分ける。

そして長いカヤックは荷物をたくさん収納できるというメリットがある。
バックパックに荷物を入れてハイキングに行くように、カヤックにいろいろ荷物を詰め込み出かけるというのがツーリングカヤックの楽しみ方でもある。
重力に逆らう山登りのときより確実に嗜好品が多くなりがちだ。そんなところが旅するフネの良いところなのだろう。キャンプで川や海に行くと誰かしらカヤックの中から面白いものを出してきたりするし、ビールを積みすぎて沈没してしまったなんてことは一生の思い出となってしまう。

広い川面へと漕ぎ出し川を見る
漕ぎ進むと空が広くなり視界が広がった。川岸には洪水対策の竹林などが広がっているのでカヤックに乗った目線から民家など人工物はあまり見えない。出会うのは釣りや川船で何かを獲っている人ぐらいだ。
最大水量日本一を誇る吉野川。特に池田ダムより下流部はその流量を受け入れる河原が広がっているため、少しカヤックで漕ぎ出せば自由なプライベートビーチがたくさんあるのが一番の特徴である。ただ増水のたびに地形が変わり危険個所も多いので注意は必要だ。

そして「川と町」の距離感が近いのも吉野川の特徴だ。上陸ついでに町を観光することもできるし、帆船で行き来していた頃の痕跡がたくさん残っている。
ただ「川と町」の距離は近いが、昨今「川と人」との距離は遠い。
川を下ってみるだけで陸から川を眺めただけでは分からないことや、山と海との関係性も感じ取ることができる。
川が蛇行している場所には山から流れてきた流木がたくさんあり、島や大きな岩の裏には砂がたまっている。流れのあるところでは釣り人がいる。
春はサツキマス、夏は鮎釣りの人もいるのでできるだけ邪魔にならないよう配慮しつつ挨拶をして進ませてもらう。なかにはこれ食べるか?と獲れたての獲物をいただくこともある。ありがたい。

台風などで山から流れてきた土砂がたまっていることもあるし、水が汚い場所もある。
そして残念ながらたくさん目に付くゴミは海へと流れていく。
誰もが自由に利用できる公共の空間である河川ではあるが、危ないという理由で「川と人」の距離が離れているのが現代社会。
川を中心にあらゆる手段を通してこの距離感を近づけ、環境を見る機会を作るということをミッションに活動している。

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企画・文:牛尾健
協力:眞鍋祐樹
写真:萬川奨
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Trip 四国の川の案内人/代表 牛尾健
つるぎの山で自給した暮らしをしながら海川山と国内外へのフィールドへ出続けています。
日々アウトドアや古道や吉野川を研究。
そんな経験からどこでもアウトドアツアーを作ります。
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【Trip 四国の川の案内人】
徳島は剣山の麓を拠点に「吉野川の川旅」や「剣山系の山歩き」など
貸切or少人数でのアウトドアツアーを中心に"管理外に出る自由"を提案しています。
ルート作りやツアー造成や研修、各種コーディネート、団体でのアウトドア体験、ショップ運営などを通して
アウトドアの成熟&自然観を取り戻すことを目標に活動中。
*Tumblr:https://trip-yoshinogawa.com/
*Instagram:https://www.instagram.com/trip459/
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【BLUE CYCLE LABO】
徳島市万代町5丁目71-4
営業時間:11:00~18:00
定休日:月曜・火曜
*HP:https://manabebikesgroup.com/
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第3回の今回は秋の吉野川カヤックツーリングをご紹介📣

仕事前の川遊び!
まだ残暑が厳しい秋の吉野川。水温はまだ20℃以上あるので気温が上がる日は水を浴びるような川下りにはちょうどいい。今回はいつもツアーで行く吉野川を下ろうと企画を考えた。しかしみんなの予定が合わない。それなら早朝スタートで早めにゴールして仕事に行けるようにしよう!ということで時間を合わせた。まだ陽は長いので十分楽しめる。せっかくなので朝食を河原で楽しんでからスタートすることにした。
風が凪ぎ太陽の位置がどんどん変わっていく朝の河原。インスタントコーヒーを飲むだけでもカップラーメンを食べるだけでも美味しいその時間帯を、人のいない河原で過ごしてほしい。そこに面白いギアや楽しい食事を付け加えたい。アウトドアのガイドとしてフィールドと町が近い徳島ならではの楽しみ方をしてみようという提案だ。
朝が得意な僕は早起きして朝食を仕込んでおいた。

まずは焚き火とコーヒーを
早めに着いて焚き火台を出し、まずは焚き火。穏やかな朝の焚き火は気持ちいい。川の水を汲んで浄水器を通しケトルに入れお湯を沸かす。コーヒーを飲みながら準備をしているとメンバーが集まりはじめた。
まだ水温も高いのでカヤックの準備を済ませたら汗を流しに川に飛び込んだ。
そしてワンアクションちゃぶ台を川の中に置けば涼しいリビングの完成だ。川の中に座りコーヒーを飲んでいると何かの稚魚が足のまわりにたくさん寄ってくる。飲み終わったカップで金魚すくいのように簡単に獲れてしまうのが面白い。
下流まで透明度が高く水温の高い川、そして魚の多さなど、豊かな環境がすぐ近くにあるのが徳島のいいところだ。

料理の時間
今回はパンケーキ!
いつもパンケーキを作るときは事前にペットボトルなどに混ぜたものを準備しておき現場では焼くだけにしている。
いつも現場で簡単に、そして水辺では焚き火を使った料理が基本スタイルだ。
あとはそのまま食べられる簡単なサラダやバナナを用意。鉄板でベーコンを焼き、スクランブルエッグはアメリカンダイナーをイメージし甘めの味付けで作った。それらをパーティープレートに乗せたら料理は完成だ。



▲Snow Peak ワンアクションちゃぶ台竹 M ¥27,720(税込)/パーティープレート ¥21,120(税込) ※TAG STOREで販売中
カヤックをイスにして川に浸かりながら、各自好きなようにパンケーキを焼いて楽しむ。
気持ちのいい天気の中、話をしているとついゆっくりしてしまいスタートが遅れてしまうがそんな自由さも、アウトドアのいいところでもある。
気持ちいいからゆっくりする、危険だから回避する、その場で考えて天気やコンディションを見て自由に動くという自立した遊びがアウトドアなのだ。

旅するフネに荷物を積んで。
お腹を満たしたらカヤックスタート!
使うフネはいつもツアーで使用することが多いツーリングカヤックだ。
コンパクトな日本の地形の特に平野部では、晴れると陸と海の温度差で下流から上流へと海からの風か吹く。
この風があるので海からの風をキャッチして帆船で上流へと上がって来られた。そして川沿いに湊町として町が栄え海のものが山間部の集落に運ばれ、山のものが海の方へと運ばれた。日本各地、大きな川の沿線に鉄道があるのは川の物流が鉄道に変わったためだ。
川を下るとそのような歴史的背景まで感じられる。
そんな向かい風が吹くと正直なかなか進まない。なので進むことを考えると直進性のある長いカヤックが有利ということになる。ただ正直長いぶん陸では重たい。しかし水面に浮かべると自由が得られる乗り物でもある。もちろん軽い折りたたみ式などもあるので用途に合わせて使い分ける。

そして長いカヤックは荷物をたくさん収納できるというメリットがある。
バックパックに荷物を入れてハイキングに行くように、カヤックにいろいろ荷物を詰め込み出かけるというのがツーリングカヤックの楽しみ方でもある。
重力に逆らう山登りのときより確実に嗜好品が多くなりがちだ。そんなところが旅するフネの良いところなのだろう。キャンプで川や海に行くと誰かしらカヤックの中から面白いものを出してきたりするし、ビールを積みすぎて沈没してしまったなんてことは一生の思い出となってしまう。

広い川面へと漕ぎ出し川を見る
漕ぎ進むと空が広くなり視界が広がった。川岸には洪水対策の竹林などが広がっているのでカヤックに乗った目線から民家など人工物はあまり見えない。出会うのは釣りや川船で何かを獲っている人ぐらいだ。
最大水量日本一を誇る吉野川。特に池田ダムより下流部はその流量を受け入れる河原が広がっているため、少しカヤックで漕ぎ出せば自由なプライベートビーチがたくさんあるのが一番の特徴である。ただ増水のたびに地形が変わり危険個所も多いので注意は必要だ。

そして「川と町」の距離感が近いのも吉野川の特徴だ。上陸ついでに町を観光することもできるし、帆船で行き来していた頃の痕跡がたくさん残っている。
ただ「川と町」の距離は近いが、昨今「川と人」との距離は遠い。
川を下ってみるだけで陸から川を眺めただけでは分からないことや、山と海との関係性も感じ取ることができる。
川が蛇行している場所には山から流れてきた流木がたくさんあり、島や大きな岩の裏には砂がたまっている。流れのあるところでは釣り人がいる。
春はサツキマス、夏は鮎釣りの人もいるのでできるだけ邪魔にならないよう配慮しつつ挨拶をして進ませてもらう。なかにはこれ食べるか?と獲れたての獲物をいただくこともある。ありがたい。

台風などで山から流れてきた土砂がたまっていることもあるし、水が汚い場所もある。
そして残念ながらたくさん目に付くゴミは海へと流れていく。
誰もが自由に利用できる公共の空間である河川ではあるが、危ないという理由で「川と人」の距離が離れているのが現代社会。
川を中心にあらゆる手段を通してこの距離感を近づけ、環境を見る機会を作るということをミッションに活動している。

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企画・文:牛尾健
協力:眞鍋祐樹
写真:萬川奨
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Trip 四国の川の案内人/代表 牛尾健
つるぎの山で自給した暮らしをしながら海川山と国内外へのフィールドへ出続けています。
日々アウトドアや古道や吉野川を研究。
そんな経験からどこでもアウトドアツアーを作ります。
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【Trip 四国の川の案内人】
徳島は剣山の麓を拠点に「吉野川の川旅」や「剣山系の山歩き」など
貸切or少人数でのアウトドアツアーを中心に"管理外に出る自由"を提案しています。
ルート作りやツアー造成や研修、各種コーディネート、団体でのアウトドア体験、ショップ運営などを通して
アウトドアの成熟&自然観を取り戻すことを目標に活動中。
*Tumblr:https://trip-yoshinogawa.com/
*Instagram:https://www.instagram.com/trip459/
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【BLUE CYCLE LABO】
徳島市万代町5丁目71-4
営業時間:11:00~18:00
定休日:月曜・火曜
*HP:https://manabebikesgroup.com/
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